葬儀社の採用難|葬儀師が集まるクチコミ4ステップ
目次
TL;DR(3点まとめ)#
- 葬儀師・火葬係の有効求人倍率は7.59倍(令和6年12月・厚労省)。7社が1人を奪い合う採用難
- 求職者の52%が応募前にGoogleクチコミを確認して応募先を決めている(バイジー×日本の人事部2024調査)
- クチコミを放置している葬儀社は、採用の土俵に立てていない可能性が高い
葬儀社の採用担当者から「求人を出しても応募が来ない」という声をよく聞く。
求人媒体を変えてみた、給料を上げてみた、それでも状況が変わらない——という状況で、Googleマップのクチコミ欄を見ると、返信がまったくなかったり、低評価が放置されていたりするケースが少なくない。
葬儀師を志している人は、応募前にかなり慎重に情報を調べる。「どんな職場か」「スタッフとの関係はどうか」「遺族にちゃんと向き合っているか」。その確認先として使われているのが、今や求人票よりもGoogleのクチコミだ。
7社で1人を奪い合う葬儀師採用の実態#
厚生労働省の最新データ(令和6年12月・職業別有効求人倍率)によると、葬儀師・火葬係の有効求人倍率は7.59倍。
これは「求職者1人に対して7.59社の求人がある」という意味だ。全業種平均が1.0台後半で推移していることを考えると、葬儀業の採用難がいかに深刻か分かる。
なぜここまで求人倍率が上がったのか。主な要因は3つ。
① 件数の急増 葬儀件数は2024年に50万2921件(日経報道)。20年前と比べて約8割増加している。高齢化の加速で今後も件数は増え続けるが、働き手の数は比例して増えない。
② 仕事のイメージ問題 葬儀の仕事に「縁起が悪い」「メンタルがきつそう」といったネガティブなイメージを持つ人は依然多い。実際に働いている人は「やりがいが大きい」と感じているケースが多いが、その情報が外に伝わっていない。
③ 離職が多い 業界の慣行や労働環境の問題から、早期離職が発生しやすい構造になっている。採用してもすぐに人が抜けるため、常に採用活動が続く。
件数は増える、働く人は増えない、離職も多い。この三重苦が求人倍率7.59倍という数字を作っている。
求職者の52%が応募前にGoogleクチコミを見ている#
採用難の構造を理解した上で、次に考えるべきは「求職者がどこで応募先を決めているか」だ。
バイジーと日本の人事部が2024年に実施した調査(n=3,317)によると、中途求職者の52.21%が応募前に口コミサイトやGoogleクチコミを確認している。
同年のエン・ジャパンの調査では、67%が口コミの内容を見て応募を辞退した経験があると回答している。
つまり、求人票を見て「ちょっといいかも」と思った候補者が、Googleマップを開いてクチコミを確認し、「やっぱりやめておこう」と離脱するという流れが、今の採用市場では当たり前に起きている。
葬儀社は特にクチコミの影響を受けやすい#
どの業種でも口コミは参考にされるが、葬儀社には特有の事情がある。
職場の内情が見えにくい 葬儀社は一般の人が「職場見学」できる環境にない。どんな雰囲気で働いているか、スタッフ同士の関係はどうか——そういった情報を入手する手段が限られている。だからこそ、外から唯一見えるクチコミの重みが増す。
仕事の「リアル」を確認したい 葬儀の仕事に就こうとする人は、「本当にやっていけるか」を真剣に考えている。軽い気持ちで始められる仕事ではないからこそ、事前調査が念入りになる。クチコミの中に「スタッフが丁寧」「遺族への対応が温かい」という言葉があれば、「こういう職場なら自分もやっていけるかもしれない」という判断材料になる。
低評価クチコミが「職場の雰囲気」に直結して読まれる 一般の小売店なら「商品が良くなかった」という低評価は購入者の感想だ。だが葬儀社のクチコミで「スタッフの対応が冷たかった」「言い方がきつかった」という内容があると、求職者にとってはそのまま「職場の人間性」の証拠として読まれる。
顧客向けのクチコミと採用のためのブランドが、葬儀社では一体化している。
葬儀社の採用×クチコミ改善4ステップ#
「クチコミを増やしましょう」という話は分かった、でもどこから手をつければいいか——という声に応える形で、実践的なステップをまとめた。
ステップ①:遺族の感謝クチコミを依頼するタイミング設計#
葬儀後に「Googleにクチコミをお願いします」と言い出せない、という担当者は多い。確かに、葬儀の直後に依頼するのはタイミングとして難しい。
ただ、遺族の感謝の気持ちが高い瞬間は存在する。それは「四十九日法要」の後だ。49日間、担当者が節目に連絡を取り、寄り添い続けた後なら、「お世話になりました、良かったら感想を書いてもらえると嬉しいです」という一言が自然に出せる。
依頼文は短く、口頭でもSMSでも使えるテンプレートを用意しておくと担当者が動きやすい。
依頼テンプレート例(SMS用)
「この度は大変お世話になりました。よろしければ、Googleのクチコミにご感想をいただけますと励みになります。[Googleマップの短縮URL]」
ステップ②:採用向けGBP写真の整備#
Googleビジネスプロフィール(GBP)の写真欄に何が載っているかは、求職者が最初に目にするものだ。
式場や安置室の写真だけでは、「働く場所」は伝わらない。採用ブランディングを意識するなら、以下の写真を意図的に追加したい。
| 写真の種類 | 採用に与える効果 |
|---|---|
| スタッフの笑顔(制服着用) | 「雰囲気が明るい」「働きやすそう」という印象 |
| 新人研修の様子 | 「ちゃんと育ててもらえる」という安心感 |
| 式の準備風景(複数人) | チームワークが伝わる |
| 担当者と遺族のツーショット(許可取得必須) | 「感謝される仕事」というリアルなやりがい |
写真は月1回のペースで更新すると、GBPの露出度が上がる効果もある。
ちなみに自社のGBPが「式場ばかりで働く人が1枚も写っていない」状態になっていないかは、身内より他人の目で見た方が早く分かる。無料のMEO診断では写真とカテゴリの現状も見ているので、指摘だけ受け取って社内で差し替える使い方でも問題ない。
ステップ③:職場が伝わる口コミ返信の型#
クチコミへの返信は、次の求職者も読んでいる。
「ご来店ありがとうございました」という定型文では何も伝わらない。採用の観点を少し混ぜた返信をするだけで、求職者に「この職場、誠実そうだ」という印象を与えられる。
採用意識を入れた返信例
「このたびはご家族のお気持ちに寄り添えたこと、スタッフ一同、大変嬉しく思っております。担当者の○○も、この言葉を読んで仕事への誇りをあらためて感じておりました。今後もご遺族に安心していただける式をお届けできるよう、チーム全員で取り組んでまいります。」
返信の中に「スタッフが誇りを持って働いている」というメッセージが自然に入る。求職者は「お客さんに感謝されながら働ける場所なんだ」と読む。
ステップ④:月1回の棚卸し(比較表付き)#
口コミ対策は「一度やったら終わり」ではない。競合の動向と自社の状況を月1回確認する習慣を作ることで、採用ブランドの劣化を防げる。
チェックすべき項目はシンプルでいい。
| チェック項目 | 目標 |
|---|---|
| 自社のクチコミ件数 | 前月比±で把握 |
| 自社の平均評価 | 4.0以上を維持 |
| 最新クチコミへの返信 | 1週間以内に100%返信 |
| 近隣葬儀社の件数・評価 | 差分を把握して優位性を確認 |
| GBP写真の更新 | 月1回は新規追加 |
このチェックを担当者が月初に15分でやる習慣にするだけで、放置によるブランドの劣化が防げる。
まとめ#
葬儀師の有効求人倍率は7.59倍。7社が1人を奪い合う環境で、採用できる葬儀社とできない葬儀社の差はどこにあるか。
Googleクチコミを積み上げ、適切に返信し、写真を整えている葬儀社は、求職者の目に「誠実な職場」として映る。逆に、クチコミが少なく、返信もない葬儀社は「情報がない=リスク」として敬遠される。
求人票の文言を磨く前に、まずGoogleマップを開いて自社のページを見てほしい。求職者が最初にたどり着く場所がそこだから。
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