UAE法人税の免除、2029年まで延長|対象と対象外を整理
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目次
TL;DR(ポイントまとめ)#
- UAE財務省が2026年8月7日、中小企業向けの法人税免除(Small Business Relief)を2029年12月31日までに終了する税務期間まで延長すると発表(省令131号)
- 対象は年商300万AED(約1.2億円・1AED≈40円換算)以下の事業者。従来の期限は2026年末だった
- SNSで「ドバイの法人税0%が2029年まで延長」という広まり方をしているが、これは不正確。フリーゾーンの0%優遇(QFZP)とは別制度で、そちらは今回の発表と関係ない
- これからドバイで小さく法人を始める人には追い風。ただしUAE側の税金がゼロでも、日本側の税務は別問題
1. 何が発表されたのか#
2026年8月7日、UAE財務省が省令131号(Ministerial Decision No. 131)を発表した。中身は一つで、Small Business Relief(中小企業向け法人税免除)の適用期限を、2026年12月31日から2029年12月31日までに終了する税務期間へと3年延長するというもの。
Small Business Reliefは、年商300万AED以下の事業者が申告時に選択すると、その期間の課税所得が無いものとして扱われる制度だ。つまり実質的に法人税がかからない。300万AEDは日本円でざっくり約1.2億円(1AED≈40円換算・為替で変動あり)。個人でドバイに法人を作るケースの大半はこの範囲に収まる。
UAEの発表によると、中小企業はUAEの事業体の94%以上を占め、非石油GDPの60%以上を支えている。スタートアップ支援と税制の競争力維持が延長の理由とされている。
出典: UAE extends corporate tax relief for small businesses until 2029 | The National・Gulf News
2. 前提:UAEの法人税は2023年から「0%ではない」#
まず前提から。「ドバイは法人税ゼロ」という古いイメージのまま止まっている人が多いが、UAEは2023年6月から連邦法人税9%を導入している。現在の全体像はこうだ。
| 区分 | 税率 |
|---|---|
| 課税所得 375,000AED(約1,500万円)まで | 0% |
| それを超える課税所得 | 9% |
| 適格フリーゾーン法人(QFZP)の適格所得 | 0%(別制度) |
| Small Business Relief 選択時(年商300万AED以下) | 課税所得なし扱い(今回2029年末まで延長) |
つまり今回の延長は「もともと9%の税制の中にある、小規模事業者向けの免除枠が3年延びた」という話だ。
3. 「法人税0%が延長」という広まり方は不正確#
ThreadsやXでは「ドバイの法人税0%が2029年まで延長された」という粒度で流れているが、正確ではない。区別すべき点は2つある。
1つ目。フリーゾーンの0%とは別制度。 フリーゾーン法人が適格フリーゾーン法人(QFZP)として受ける0%優遇は、今回の発表と無関係に存続している。むしろQFZPはSmall Business Reliefを選択できない(多国籍企業グループのメンバーも同様)。「フリーゾーンの0%が2029年で終わる」わけでも「フリーゾーンの0%が延長された」わけでもない。
2つ目。無条件の0%ではない。 Small Business Reliefは年商300万AED以下という条件つきで、申告時に選択する制度だ。年商がそれを超えれば通常の9%の枠組みに入る(375,000AEDまでの0%帯はある)。
細かい話に見えるが、この区別を曖昧にしたまま「ドバイ=税金ゼロが延長」と理解して動くと、法人の設計を間違える。業者のセールストークにも「0%」だけを切り取ったものが混ざりやすいタイミングなので、なおさら正確に押さえておきたい。
4. 誰に効く話か#
一番効くのは、これからドバイで小さく法人を始める人だ。年商1.2億円以下の期間は法人税の負担なしで走れる見通しが、2026年末まで→2029年末までに3年延びた。「始めて数年で免除が切れる」という不確実性が減ったのは、事業計画上は素直にプラスと言える。
すでにQFZPとして0%で運用している場合は、今回の発表で何かが変わるわけではない。自分の法人がどちらの枠組みで立っているか(または立てるべきか)は、フリーゾーンの選び方や所得の中身で変わってくる。
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5. 日本人オーナーが勘違いしやすい点#
ここは毎回書いているが、今回のようなニュースの直後こそ大事なので繰り返す。
UAE側の法人税がゼロになることと、日本側で課税されないことは、まったく別の話だ。 日本に住んだまま(=税務上の生活の本拠が日本にあるまま)ドバイ法人だけ作っても、日本の居住者としての課税やタックスヘイブン対策税制の論点は残る。UAEの税務居住者になれるかと、日本側で非居住者と見なされるかは別の判定で、日本人にとっての本丸は後者だ。
「2029年まで延長」のニュースは魅力的に見えるが、効くのは実態を伴ってドバイに拠点を移す設計とセットのときだけ。ここを飛ばした「とりあえず法人だけ」は、節税どころか二重の手間になりやすい。
まとめ:追い風は本物。ただし正確に#
- Small Business Relief(年商約1.2億円以下の法人税免除)が2029年末まで延長——これは一次ソースのある本物のニュース
- ただし「ドバイの法人税0%が延長」という理解は不正確。フリーゾーンの0%は別制度で、両者は併用できない
- これから小さく始める人には計画が立てやすくなった。一方で日本側の税務は何も変わっていない
制度の枠組みと自分のケースの当てはめは別物なので、方向性が固まったら国際税務に強い専門家に確認してほしい。まずは全体像と費用感を知りたい段階なら、無料の30分オンライン面談で聞くのが早い。予約は空き枠を選ぶだけで、相談だけで終わっても問題ない。
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※発信者は税の専門家ではありません。本記事は公開情報の整理であり、最終的な判断は一次情報(UAE財務省・国税庁)を確認のうえ、国際税務に強い税理士へご相談ください。